CASIO FD-30

 CASIO FD-30は、1981年?に発売されたVFD(蛍光表示管)表示の15桁・加算器方式電卓です。FD-30の主な仕様は、以下の通りです。

 1.型式:CASIO FD-30
 2.大きさ:幅213・奥行261・高さ75(単位:mm)、重量:1.3kg
 3.電源:AC 100V 50/60Hz 消費電力:5W
 4.桁数:置数15桁(正数は16桁)・加減乗除15桁(正数は16桁)・平方根結果15桁・アイテムカウント3桁
 5.表示素子・状態表示:VFD(蛍光表示管) ・ 負数(-)、定数計算時"K"表示、メモリー使用時"T・U"表示

 6.搭載メモリー:3本(独立累計2(MT・MU)及びGT : MUとGTメモリーは排他使用)
 7.小数点方式:浮動(F)、切捨て、切上げ、四捨五入(5/4)
 8.丸め計算:小数点以下第0, 1, 2, 3, 4, 6, 8位と、ADD2モード(合計8段階)
 9.定数計算:乗除のみ(加算器方式のため)
10.主な計算機能:四則計算、定数計算、集計計算、アイテムカウント(最大999個まで)、百分率(%)、平方根(√)、中間合計([T]キー)、1桁ごとの置数訂正機能

11.標準小売価格(当時): 34,800円

※発売開始時期について

 FD-30の発売開始時期は不明ですが、1982年2月の電卓カタログには既に掲載されており、そこに「新製品」の表示はありません。そのため発売開始は、少なくても1981(昭和56)年以前と思われます。
 なお1991(平成 3)年の電卓カタログにも掲載があるため、少なくても10年以上は販売を続けたロングセラー電卓という事になります。

※製品の概要

 デスクトップ電卓の高級モデル「FDシリーズ」の上位機種です。姉妹機には12桁のFD-20があり、桁数以外の基本仕様は同じです。
 15桁という多桁機でもあり、発売当時プリンタ電卓以外では最高価格の製品でした。またAC専用機で電源部を内蔵しているため、重量も1.3kgとなかなかのものです。表示はこの頃の事務用電卓の主流である、大型の平型蛍光管を使用しています。

 なおカタログ上は「15桁」となっていますが、蛍光表示管は下図のように16桁分になっています。このため正数(0以上)の置数や四則計算の結果は16桁での表示が可能。一方負数(0未満)の置数や結果は15桁までとなります。また各桁の「8」の右横に、4を表示する為の出っ張りがありますが、FD-30では点灯しません。

FD-30の蛍光管ディスプレイ

 このクラスの電卓は主に企業や官公庁向けであり、数値入力の便宜を図るために[0], [00]だけではなく[000]キーも搭載しています。繰上げ・四捨五入・切捨て機能は当然持っており、小数点以下の桁数指定は7段階、ADD2モードも搭載とさすがに高級機の仕様です。

※キータッチについて

 キーの感触は良好です。ストロークは適度な深さでとても扱いやすいものです。クリック感は少なめですが、実用上不満は感じません。
 キー音は少しカタカタ音は出ますが、静かです。
 キートップはもちろん2色成型プラスチックなので、長時間の使用にも文字が消える事はありません。

 キー配置は[000]キーがあるため、[0]キーを[1]の左下に置いてあります。しかし[0]キーの周囲には広くスペースを取ってあるため、[C]キーとの押し間違いは起きず、ブラインドタッチも快適です。このクラスだと当然ですが、キーの位置に合わせてキートップの形状を変えている「ステップスカルプチャー・キーボード」になっています(CS-6302も同様)。1桁ずつの訂正キーもありますし、立派な「本格実務電卓」仕様です。

 [+=], [-=(-)]キーは、大きく数字キーの横に縦並びになっています。シャープと同じ配置になりました。

※メモリーについて

 メモリーは3本(独立メモリー2・GTメモリー1)搭載していますが、MUとGTメモリーは同時に使えず、スイッチの切替でどちらかを使うようになっています。内部的には2メモリー機と思われます。なおMUまたはGTメモリーにある数値は、[CA]キーを押す事でゼロクリアされます。

 メモリーについてさらに言えば、MTのメモリー内容呼び出しキーには[MR]と[MRC]の2種類が存在します。
 違いは[MR]が単なるメモリー内容の呼び出しなのに対し、[MRC]は「メモリー内容を呼び出すと同時に、MTの内容をゼロクリアする」という機能になります。パーソナル電卓で[MRC]キーのある電卓では「1回押せばメモリー呼び出し、もう1回押せばメモリーをゼロクリア」という仕様ですが、同じキーを2回叩く手間を省いた機能になっています。

※演算機能について

 本格実務電卓としての計算機能は全て持っています。アイテムカウントも最大999までと十分。今の本格実務電卓が持っていてFD-30が持っていないのは、サインチェンジ(+/-)くらいでしょう・・・ってL1217と同じ説明になってしまいますが。

 中間計算結果を出す為の[T]キーも搭載しています。計算の中途でこのキーを押すと、そこまでの計算結果が確定され、次からは「CA」キーを押さなくても新しい計算として始める事が出来ます。
 MUやGTメモリーに値が入っていたりする場合、消える事が無いので便利です。

 演算速度はそこそこです。特に割り算や平方根の計算で、一瞬ですが表示が消えます。時間にして0.3秒くらいでしょうか。特にストレスを感じるほどではありません。キーの早打ちには十分対応しており、かなりの速さで打っても計算が止まったり、桁落ちなどは発生しませんでした。

※まとめ

 CASIOが非常に真面目に作った、本格実務電卓といった製品です。元々財務・経理のプロ用として作ったものと思われるため、耐久性も十分。またSHARPの電卓のように経年変化で外装が黄ばむといった事もなく、長期間快適に使える電卓です。
 この後CASIOはFN-30?という後継機種を発売した記憶がありますが、その後15桁以上の多桁電卓は発売していません。ただし12桁以上の桁数を扱える電卓はラインナップに残しており、現在はDS-3GTという14桁機があります。


FD-30の内部について(作成中)


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