SONY ICF-SW7600GR

 ICF-SW7600GR(以下"7600GR"と略)は、2001年に発売されたFM/LW/MW/SWのマルチバンド・ラジオです。7600GRの主な仕様は、以下の通りです。

1.型式:SONY ICF-SW7600GR
2.大きさ:横190・高さ118.8・奥行35.3(単位:mm)、重量:約600g
3.電源:単3電池×4(Ni-MH充電式電池利用可)、DC 6V
4.受信周波数:FM:76〜108MHz、AM:150〜29999kHz
5.受信回路::ダブルスーパーヘテロダイン(AM)、シングルスーパーヘテロダイン(FM)
6.ダイヤル:液晶による周波数表示。10キーダイレクト、周波数スキャン、ページスキャンチューニング可能。SSB用ファインチューニング付き
7.アンテナ:FM/AM:内蔵ロッドアンテナ、 (MW/LW帯域?):内蔵フェライトバーアンテナ

8.主な機能:同期検波機能、SSB受信可(USB/LSB切替)、FMステレオ受信可(ヘッドホン使用)、連続可変型アッテネータ(OFF可能)、、ダイヤルライト、ヘッドホン/LINE OUT/外部アンテナ端子、世界時計(UTC時差セット式)、スタンバイタイマー(2個)、スリープタイマー(最大60分)
9.メモリー局数:最大100局(1ページ10局×10ページ)
10.定価:40,000円(税別)

 ソニーが現在発売しているマルチバンド・ラジオとしては、最高のモデルとなります。価格ではICF-SW07の方が高価ですが、受信機能ではこちらが上。発売開始後9年以上を経過した、息の長い製品です。
 発売当初は細かい不具合などもあったようですが、今はさすがに安定しており、良い意味で「枯れた」モデルでもあります。

 今のソニーでは数少ない「Made in Japan」のラジオであり、「十和田物」とも呼ばれるように、秋田県小坂町の「十和田オーディオ」がソニーからの製造委託を受けて造っています。同社の製品紹介中に、7600GRの画像があります。
 なおソニーのMade in Japanラジオは、1機種(ICF-EX5MK2)を除けば「十和田物」です。ここの高周波製品(ラジオ含む)製造技術は相当なもので、十和田物には7600GRをはじめ優れたラジオが数多くあります。

 7600GRの寸法には0.1mm単位の半端な数値がありますが、ICF-7600シリーズは一貫して「カッパブックス・サイズ」という新書版の変型的な書籍サイズと、ほぼ同じ寸法で作られているためです。当初はアナログラジオで始まったICF-7600シリーズですが、1983年発売のICF-7600DからPLLシンセサイザ方式のデジタルラジオとなりました。そして現在に至るまで基本仕様はほとんど変わらずに、マイナーチェンジを繰り返しながら販売され続けています。

 7600GRの最大の良さは「高感度マルチバンドラジオ」としての、バランスの良さにあると思います。流石に7600シリーズをいくつも作ってきただけあって、旧来の操作性を維持しながら手堅くまとめた印象です。ただ保守的という事はなく、このサイズで「同期検波」「連続可変型アッテネータ」を搭載したのは、正直驚きです。これは通信型受信機に付けるような機能ですから・・・

 バランスの良さというのは、感度・明瞭度・音質の3要素が、うまくチューニングされているという事です。例えば中国メーカー製のラジオは、感度は凄いけど明瞭度や音質はちょっと・・・というモデルが多い(ほとんどと言っていいかもしれません)ですが、7600GRではそういう事はありません。どの要素も高い所でまとまっています。外観の質感も安っぽさは無く、しっかり造っていますね。
 その代わり、価格は中国製の何倍もしますが・・・ただ日本国内製で機能満載のポータブルラジオを作り、ラジオの需要が少なくなった日本国内で売るとなれば、これだけの価格で売らないと元が取れないのでしょうね。実売は3万円前後が多いようです。

 このラジオは、同期検波機能を入れっぱなしにして使った方がいいという方もいますが、私はケースバイケースだと思います。混信の無い局や信号の強い局を受信する場合は、同期検波を切ってNORMALで受信する方が、音質などは良くなるはずです。
 またSSBの受信は、さすがに昔のBCLラジオよりは復調もきれいで、合わせやすいという感想です。ただSSB FINE TUNINGつまみには何の目印も無いので、どれだけ+、−側に動かしているのか分からないのが、ちょっと不親切でしょうか。確かICF-7600Dなど昔の7600シリーズには、この目印がつまみにありましたので・・・

 最後に、これは優秀なラジオです。7600シリーズの集大成と言っていいでしょう。今からBCLを始める人には、最良の選択肢と言っていいと思います。
 マニアの方は「これにシグナルメーターがあり、選局がUP/DOWNキーではなくてダイヤルだったら・・・」と良く言いますが、私もそう思います(笑)。
 ただICF-7600D以降の仕様から考えて、シグナルメーターは搭載しないと思います。LEDか「TUNE」という液晶表示でやってきたのが、7600シリーズですから。ちなみに、受信周波数の終端で大き目のブザー音が7600GRでは鳴りますが、これもソニーPLLラジオの伝統的仕様です。
 それに比べてダイヤルは、ICF-7600DAで搭載された実績があるので、もし次が出るとすれば「ある」かもしれません。

 ただ9年以上新製品がありませんし、果たして「次」があるのかは分かりませんが・・・

ICF-SW7600GRのTips

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