L1217の内部について

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 これはL1217の内部記録と、部品交換の記録として作成しました。
 なお電卓は非常に精密な機器ですので、部品交換には細心の注意が必要です。特に液晶表示の小型電卓は、そのほとんどがチップ部品であり個人レベルでの交換は困難です。
 70年代くらいまでの中型・大型電卓ならあるいは可能かもしれませんが、古い電卓の部品交換等はどうか自己責任でお願いします。

※L1217の内部

 L1217は保守性が非常に良く、裏側のネジ4本を外すだけで簡単に上部カバーを外せます。さらにメイン基板は、ネジ1本外すだけで取り出す事が可能です。
 この「ネジを4本外す」というのが、高級機かどうかの目安になると考えています。中級機や低価格機だとネジは1本か2本で、後はプラスチックの爪などで留めてあるものがほとんど。このタイプは分解にも注意が必要で、間違うと爪などを折ってしまい往生する事になります。


画像1:四隅のネジ4本を外して分解。左が上カバー(キーボード基板)・右が底面(メイン基板)

 キーボード側からのケーブルとメイン基板(3つの束)とは半田付けで結線していますが、これは後期型に見られるものです。前期型ではメイン基板に3個のコネクタが付いており、プラグインでの接続となっていました。前期型の例はこちら(Internals)で、下部に白いコネクタが見えます。
 なお私のL1217にはケース裏に「55.3.21」の刻印が入ったシールがあり、昭和55(1980)年3月21日製造と思われます。L1217は1976〜1980年まで販売されたようなので、最後期の生産でしょう。

 また上カバー左側に見える黒色のスポンジですが、完全に劣化してボロボロ&タール状になっていました。一部が内部にも落ちており、まずこれを取除き、掃除&交換しないといけませんね(苦笑)。
 


画像2:メイン基板。ワンチップLSIのHD38401A(日立)を使用

 メイン基板です。この頃になるとほとんどがLSIワンチップで中枢部を作っており、L1217は日立製のHD38401Aが使われています。なお初期型はこれも違うようで、同社のHD37401が使われていた模様です。
 HD38401AはL1217のバッテリー駆動版であるL1214や、カシオのVFD表示でバッテリー駆動型の10/12桁機に多く使われています。HD37401とは機能同等の互換品で、HD37401を低価格・低消費電力化した製品がHD38401/38401Aではないかと思われます。
 基板の左側がメインの計算ユニット、右側が電源関連のユニットとなっています。

1.電解コンデンサの交換

 電解コンデンサはメイン基板の左右に、1本ずつ合計2本のみ使われています。
 画像2で、左の水色がニチコン製(33μF/16V)・右の黒い方が日本ケミコン製(33μF/100V)です。電卓で日本ケミコン製は初めて見ましたが、かなり良いメーカーの製品を使っています。
 ただしニチコンの方は大丈夫でしたが、日本ケミコンの方はさすがにストレスが高い所にあるせいか、液漏れ痕と容量抜けが見られました。2つしか無いので、そのまま以下のように交換しました。

・Nichicon 33μF/16V → NIPPON CHEMI-CON SMG 33μF/25V へ
・NIPPON CHEMI-CON 33μF/100V → Nichicon KW 47μF/100V へ

 耐圧100Vの方は設置スペースやコストの問題があったかもしれませんが、ちょっと容量が少ないと思います。それで日本ケミコンのような優れたメーカーの製品を使い、容量抜けや性能低下が起こりにくい物にしたのかもしれません。でもここはセットの安定動作を考えれば、少しでも増やしたい所です。ここはニチコンのKWで、スペース上ワンラックアップの47μFにしました。


画像3:交換の終わった電解コンデンサ(黒にグレー/黒に金ラインの円筒形・2本)

 

 交換後はVFD表示がほぼ各桁均一な明るさで、輝度も上がっています。動作も安定していますね。


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