TFM-9510の内部と調整

 ここでは、TFM-9510の内部と調整箇所について、分かる範囲で記載します。
 なお間違いなどがあるかもしれませんし、画像が多いのでこの点はご容赦願います。またくれぐれも自己責任で行ってください。故障などが発生した場合の責任は取れませんので、よろしくお願いします。

1.分解手順

 分解は、フロントパネルを取り出す所までです。基板を分離するにはさらに指針や糸かけ機構を外す必要がありますが、そこまでは結構難しいのでここでは触れません。
 外すネジが多く、長さも数種類あります。確実に分解していけばフロントパネルの取出しまでは容易に出来るでしょう。
 ただし内部の電源電圧がトランジスタ式にしては相当高い(27Vあります)ので、分解は電源をコンセントから外して行うのが無難です。電池式のラジオと同等に見てはいけません。

 (1) 本体裏面の木ネジ6本を外し、裏蓋を外します。さらにFMアンテナ端子の左右にあるネジ2本を外します。この2本のみ、裏からナットで留めてあります。

 (2) 裏蓋を外すと、以下のようになります(FMアンテナ端子のネジを外す前)。左側に基板、右側に16cmのフルレンジスピーカー(8Ω・2W)と電源トランスが見えます。
 スピーカーには、ソニー製なら通常背面に「SONY」ロゴが印刷されていますが、これにはありません。別メーカー製の可能性があります。

 (3) 左の基板部の拡大写真です。バーアンテナは16cmのロングタイプ。基板上方がFM/AMのRF部、中央がAMのIF部、左下がFMのIF部、右下がアンプ及び電源部となっています。
 右下にパワートランジスタが2個見えますが、SONY製ではなくSONYに「A」が付いた、SANYO製のものです(2SB511と2SD325)。

 (4) 分解に戻ります。本体底面のネジ4本のうち、正面から見て右側のネジ2本を外します。他の2本は電源トランスを留めているので、これは最後に外します。

 (5) 本体裏面に戻り、下図A〜Dまでのネジ4本を外します。

 (6) 最後に本体底面の、電源トランスを留めているネジ2本を外し、電源トランスを外します。

 (7) 本体のフロントパネル(黒いプラスチック製の部分)を、前方に向かって押し出すと、下の画像のようにフロントパネル部を抜き出す事が出来ます。

※おまけ
 上記(7)の図で、正面の選局・バンドセレクト・音量・音質のつまみを全て外した上で、E〜Hにあるネジ4本を外します。
 その上で基板を少し上に持ち上げてから、画面右の方向にゆっくり引っ張る(指針を取り出すため)と、基板とダイヤルメカが取り出せます。コンデンサ交換を行う場合、最低でもこの状態にする必要があります。
 ただし、指針を折ったりする可能性が非常に高いため、(7)以降の分解はお勧めしません。

2.電解コンデンサの交換

 この機種は電解コンデンサが容量抜けや液漏れを起こしている事があるので、液漏れがはっきりしている物や電源・低周波回路のコンデンサは、新品交換した方が良いと思われます。今回は、以下のA〜Fまでの6個を新品と交換しました。
 交換に使ったのは手持ち品の流用で、日本ケミコンのSMG(標準品)またはニチコンのKW(オーディオ用標準品・今回は100μFのみ)を使っています。無理してオーディオ用を使わなくても、全数SMGで大丈夫でしょう。
 画像は交換後のものですが、上記1.分解手順の各画像は交換前のものですので、位置は容易に分かると思います。なおCのコンデンサは、電源リップル軽減を狙って元の1000μFから3300μFに増量しています。48時間以上ほぼ連続動作しましたが、特に問題は出ていません。

 オリジナルの容量は以下の通りです。なお耐圧はCのみ35VBのみ16V他は25Vのものを使っています。

AとD・・・100μF BとF・・・470μF C・・・1000μF E・・・220μF

 面倒ですし失敗もしやすい作業ですが、成功すれば音質・感度とも相当の上昇が期待できます。

3.スピーカーの交換

 オリジナルの16cmスピーカーは穴が開いているのを見つけたので、新品と交換する事にしました。
 ただオーディオ用のスピーカーでは奥行きがありすぎて、9510では収まりきれない可能性もあります。今回は考えた上、薄型の16cmフルレンジスピーカーで、オーディオファンやホームラジオの修理でも定評がある、ダイトーボイスの「DS-16」を使うことにしました。通称「無印」の名品、DS-16Fも若干DS-16より奥行きがありますが、9510には使えそうな感じです。
 DS-16はコイズミ無線(秋葉原)で扱っており、インターネットでの通販も行っています。

 取り付けは元スピーカーを留めている4本のネジを外し、スピーカー端子のケーブルを半田ごてで外して取り出します。後はDS-16にスピーカーケーブルを半田付けして、ネジ止めするだけです。
 スピーカーケーブルは、黄色をスピーカーの+側、黒色を−側端子に半田付けします。DS-16の場合は下画像の通り、端子は普通向かって右側が+、左側が−ですが、9510のオリジナルスピーカーは左が+、右が−と逆ですので、注意が必要です。ケーブルの色と端子で確認した方が良いでしょう。

4.調整について

 調整箇所については以下の図に記載してあります。調整は一般的なスーパーラジオと同様で、経験のある方には容易でしょう。

 なお調整だけ行うのであれば、裏蓋を開けるだけで調整は可能です。

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