TR-4150の内部と調整

 ここでは、TR-4150の内部と調整箇所について、分かる範囲で記載します。
 なお間違いなどがあるかもしれませんし、くれぐれも自己責任で行ってください。故障などが発生した場合の責任は取れませんので、よろしくお願いします。

1.分解手順

 (1) 本体下面の「OPEN」と書かれた所を押しながら、裏蓋を本体下部に書かれた矢印の方向に上げると、裏蓋が簡単に外れます。電池交換時はこのようにしてから交換します。電池用の蓋はありません。
 (2) 裏蓋を外すと、基板の右側中央(ボリュームのある方)に黒いプラスチックの爪(下画像の矢印)があり、そこで基板が留まっています。その爪を外側に押して基板を上方に引っ張ると、基板が取り外せます。

 (3) 念のため、スピーカーケーブルは半田付けで外した方が良いでしょう。外すと以下のように基板を取り出せます。

 なお調整だけを行う場合は、裏蓋を外すだけで調整が可能です。

2.調整について

 調整箇所については以下の図に記載してあります。

 まずIFTですが、1個以外はシールドしてあります。455kHzの信号を入れて、最大感度になるように調整します。OSC Coilは受信できる最低周波数の所で調整しますが、通常のOSCコイルと比べると周波数の移動はゆっくりです。
 後はバリコンのOSCトリマで受信できる最高周波数で目盛りと合うように調整し、最後にANTのトリマで最高感度になるよう調整して終了です。

3.部品の交換

 4150は発売から35〜40年近く経過しており、トランジスタや電解コンデンサ等の劣化はあっても不思議ではありません。事実、トランジスタの足は全て真黒になっていました。
 ここではトランジスタ・電解コンデンサに加えて検波用ダイオードも、新しいものに交換しました。

 交換した部品は、以下の通りです。

 (1) No.1〜3:局発・ミキサー・中間周波増幅用トランジスタ 2SC710→2SC829
 (2) No.4:低周波増幅用トランジスタ 2SC633A→2SC1815-Y
 (3) No.5〜6:電力増幅用トランジスタ 2SC633A→2SC1815-GR(ローノイズタイプ)
 (4) No.7〜8:電解コンデンサ1μF ELNA&Rubycon製→日本ケミコン製SMG
 (5) No.9〜10:電解コンデンサ100μF ELMA製→ニチコン製KW
 (6) No.11:検波用ダイオード ゲルマニウムダイオード→ゲルマニウムダイオード(1N60)

 交換したトランジスタは、元の物とエミッタ・ベースの極性が逆なので、向きは反対になります。2SC633AはhFEの一番高いグレードを使っていましたが、ローカル局を受信すると音割れが起きがちになります。そのため低周波増幅は2SC1815のYグレードと1ランクhFEを落とし、電力増幅はGRグレードにしています。音質向上を狙って、2SC1815-GRはローノイズタイプを使ってみました。
 電解コンデンサは通常品(日本ケミコンのSMGやKMG等)で十分です。KWを使ったのは単に手持ちがあり、実験的に使ってみただけです。なお100μFは元々扁平タイプのコンデンサを使っているため、通常の円筒型を付けると裏蓋がつかえます。よって、少し寝かせて装着する必要があります。
 検波用ダイオードは、最初ゲルマニウム代替のショットキーバリアダイオード(BAT43)を使いましたが、動作や音質が今ひとつなので1N60に再交換しています。

 交換結果は、感度も音質も上がります。2SC829は良いトランジスタですね。音質も明瞭度が上がり、ギリギリ音割れのしないレベルに落ち着きました。ノイズも少なく、満足できる結果です。

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