SONY TR-4150

 TR-4150(以下"4150"と略)は、1973年に発売されたMW・ポケッタブルラジオです。4150の主な仕様は、以下の通りです。

1.型式:SONY TR-4150
2.大きさ(概算):横65・高さ115・奥行30(単位:mm)、重量:約220g(電池含む)
3.電源:単3電池×2
4.受信周波数:MW:525〜1605kHz
5.受信回路:6石:スーパーヘテロダイン(IF:455kHz)
6.ダイヤル:バリコン直付け
7.アンテナ:内蔵フェライトバーアンテナ

8.主な機能:イヤホン端子
9.当時の定価:?円(3,000円台か)

 何の変哲も無い6石スーパーラジオですが、Sony Designのページにある通り、デザインが素晴らしい。これまで出たMWポケットラジオの中でも、一、二を争うモデルだと思います。
 Sony Designのページにあるのは画像が白黒?ですが、実際には上の画像の通り周波数表示の部分にオレンジが使われています。これがまた、デザイン上の好アクセント。人気のモデルだったようで、1978〜1979年頃まで売られていた模様。ポケットラジオとしてはロングセラーです。またこの頃のソニーラジオは、安価品は香港や台湾製が多くなっていきますが、4150は日本製です。

 回路は前述のように6石のシングルスーパーで、トランジスタは発振&ミキサー・中間周波増幅用に2SC710(三菱)が3個、低周波増幅用に2SC633A(ソニー)が1個、電力増幅用に2SC633Aが2個使われています。
 使用部品は、発売時期によりマイナーチェンジがあります。確認されているものでは、低周波増幅用のトランジスタに2SC1364(ソニー)を使っており、100μFの電解コンデンサの耐圧が6.3Vという4150があります。私の持っている4150は、低周波増幅用が2SC633A、電解コンデンサの耐圧は10Vのものでした。どちらが先に生産されていたかは不明です。
 なお100μFの電解コンデンサは通常の縦長な円筒形ではなく、高さの低い扁平型のものを使っています(普通の円筒形では、高さがあって裏蓋がつかえてしまい、きちんとハマらなくなるためと思われます)。

 感度は良好です。見た限りバーアンテナや特殊な回路を使っている形跡が無いので、やはり2SC710の性能かな?とも思えます。夜間になると、全国の民放局が聴こえてきます。
 音質はポケットラジオとしてはこんなものかな?という感じですが、音量を上げると音が割れてしまい、ローカル局の受信時には放送内容が十分に聴きとれなくなる場合があります。少しアンプ部の性能が良すぎるかな?(苦笑)
 チューニングダイヤルはバリコン直付けですが、42mm径という大型のダイヤルを使っているため、割と選局はやりやすいです。ボリュームは電源スイッチとの兼用になっているタイプで、操作は極めてシンプルです。
 電源は単3電池を2本使います。消費電力が極めて低いので、今時のアルカリ電池を使えば200時間以上は優に持つのではないでしょうか。災害用ラジオとしても十分でしょう。

 さてデザインですが、4150のように円形で格子状ののスピーカーグリルというと、同社のスカイセンサー5500(ICF-5500/5500A)&5600(ICF-5600)が、似たようなデザインのスピーカーグリルです。ただし4150の方は穴の大きさが極めて大きく、穴の縁を白く描いているという思い切ったデザインです。チューニングダイヤルの外周も白くする事で、デザインに統一性を持たせてもいます。
 シックな黒とアルミ製?の枠のお陰で、非常に引き締まった精悍なデザインになっていると思います。

 本当にデザインが良くて、持っていたい・持つと楽しいポケッタブル・ラジオ。今時のポケッタブルラジオとは全く違う、独特の雰囲気があります。
 こういうデザインの小型ラジオ、今の日本のメーカーではどうでしょうか?どこか作ってくれないかな?と思います。

TR-4150の内部と調整について


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